安全で快適なドライブの基本となるのは、きちんと整備されたクルマです。高度な技術の集合体ともいうべき最近のクルマは、昔と違ってトラブルの発生率がかなり下がってきています。また、ボンネットを開けても自分で整備できる部分はほとんどありません。けれど、そんなクルマのフールプルーフ化がユーザーの過信を招き、思わぬトラブルを発生させる原因になっているということは、覚えておいたほうがいいでしょう。
一度道路にでると、事故だけでなく、バッテリー上がりやエンジントラブルなど様々なトラブルが起こる可能性があります。高速道路では釘踏みなどによるパンク、タイヤが破裂するバーストが多いのも特徴。いずれにしても、高速道路を使っての長距離ドライブでもっとも気をつけるべきなのがタイヤということです。
空気圧チェック
では、タイヤのメンテナンスには具体的にどのようなことが求められるのでしょうか。重要なのは2点。空気圧チェックと、残り溝のチェックです。
タイヤには空気が抜けにくい特殊なゴムが使われていますが、それでも時間が経つにつれ徐々に空気は抜けていきます。メーカー指定の空気圧より低いと、燃費の悪化や偏摩耗、直進安定性の低下に加え、タイヤのバーストが起こる確率が高くなります。釘踏みなどは徐々に空気が抜けていく場合が多いのですが、バーストは一瞬にしてタイヤが破裂するため、場合によってはコントロールを失い事故につながることも。最低でも1ヶ月に1度はガソリンスタンド等で空気圧のチェックをする習慣をつけるようにしましょう。
なお、タイヤの空気圧チェックはタイヤが冷えている状態で行うのが基本です。走行してタイヤが熱くなると、それにつれ空気圧も上昇します。熱い状態で空気圧を測り、高すぎるからと空気を抜いてしまうと非常に危険です。
タイヤの残り溝
もう一点はタイヤの残り溝です。残り溝が1.6㎜以下での走行は整備不良の取締対象になりますが、だからといって2㎜残っているから安心ということにはなりません。そこまですり減ると、雨天時の制動距離は新品タイヤより30%程度のびるからです。
また、残り溝が少ないと、雨天時に水たまりを通過したとき、タイヤが水膜に乗ってコントロールを失うハイドロプレーニング現象も起きやすくなります。寿命は車種や乗り方によって変わりますが、目安として通常は3万キロ程度で交換することが必要です。
また、ゴムは経時劣化によりグリップ性能が落ちるので、たとえ走行距離が短く残り溝が十分残っていても、3年を目安に早めに交換することをオススメします。
スペアタイヤのチェックとチャイルドシート
もう一点、意外に見落としがちなのがスペアタイヤの空気圧です。万が一パンクをしてタイヤ交換をする場合、肝心のスペアタイヤに空気が十分に入っていなかったら万事休す。いま履いているタイヤよりも頻度は少なめで大丈夫ですが、1年に1回はスペアタイヤの空気圧をチェックし、減っていたら補充しておくようにしましょう。
タイヤさえしっかりチェックして、もし必要であれば交換なり空気圧調整なりをしておけば、高速道路で最も多いトラブルをかなりの確率で防ぐことができます。また、タイヤに起因する事故のリスクも大幅に減らすことができます。長距離ドライブ前には、オイルや灯火類、ワイパーブレードといった他の部分の点検もしておくのがベターですが、最低でもタイヤだけはベストな状態に保っておくことが大切です。
厳密に言うとクルマのメンテナンスとはジャンルが異なるかもしれませんが、もし小さなお子様がいるのであれば、チャイルドシートの固定方法も確認しておくことをオススメします。チャイルドシートの設置方法の誤りは少なくなく、なかでも多いのが取付時の緩みと言われています。がたついたチャイルドシートでは万が一の際、十分な安全を確保できません。お子さんの安全のためにも、ドライブ前にはチャイルドシートの取扱説明書をもう一度よく読み、正しい取り付け方法を実践しておくことが必要です。